2007年05月13日

負けへんで!!西宮冷蔵

コンプライアンスに身体を張った水谷社長の勇気に感激!

去る4月20日、はりま産学交流会の特別講演会で、7年前の雪印食品の牛肉偽装事件内部告発で時の人となった、西宮冷蔵の水谷洋一社長の話を興味深く拝聴した。
世間では、西宮冷蔵が顧客の秘密を暴露して裏切ったとか、水谷社長が進んで内部告発を したという印象で捉えている人も多いようだが、実際の話は違っていた。当時国内に発生したBSE問題がきっかけで、全頭検査をする日以前に加工されていた輸入牛肉を、国が責任を持って処分することになったにもかかわらず、雪印食品は西宮冷蔵に、預けていた輸入牛肉(300円/?)を焼却すべき国産牛(買上価格1,000円/?)に偽装するため、自社の社員を休日に倉庫内に入らせ、国産牛のダンボールに詰めかえさせた。
西宮冷蔵の水谷社長は、出張から帰った後にそのこと知り、雪印食品の責任者に対して取り消させるよう進言することを部下に指示したが、部下はこれを言いそびれていた。
やがてマスコミのかぎつけることになり、切羽詰った水谷社長は、雪印の責任者に事件化しないように始末書を書き、偽装して得た利益全額の返還を進言するも聞き入れられず、記者会見で真相を明かさざるを得なくなった。引き続き同様の不祥事を惹き起こした日本ハムも、コンプライアンスや世論の前には、さしもの食肉業界の巨大政治力をもってしても屈せざるをえなくなり、大いに社会的信用を失うこととなった。次々と事件の波及を恐れる官界は、霞ヶ関の農水省が倉庫業を管轄する国交省に働きかけ、偽装された牛肉の在庫証明をした(実は書かされた)西宮冷蔵に、虚偽記載の倉庫業法違反に当るということで営業停止を命じて(後に廃業に追い込まれる)、事態の収拾を図った。
水谷社長は、息子と今後のことを話し合っていたところ、元社員3名が後に立っており「社長がんばりましょう」と言ってくれ、その後、全国にも激励の支援の輪が広がって、何とか再建を果たすことが出来たそうだ。当時20名いた社員は現在7名になってしまったが、事件も終結ではなく、今なお闘いは続いているようで、頑張っておられる。
企業はどんな業界においても業法というものがあり、それ以外に一般社会での色々な規範や条理に背いたのでは、社会に存在し得ない。とりわけコンプライアンスの一線が判り辛い領域、例えば税法の解釈を巡っては、企業側の論理からすると一線を侵してしまう場合もしばしば見受けられる。「見解の相違があったが修正申告に応じている」の類はそれである。ただし、分からなければバレ元でというのは慣習化すると蟻の一穴から堤防が崩れることもあり得る。そして、バレ元のケースは重加算税を課されるケースも多い。結局少しくらいは・・と一線を超えると、どこが限界か見失うようになる。
先ずコンプライアンスありきでなければ企業は瞬時にして信頼を失墜しかねないことを、この事件は教えてくれている。



Posted by miki  at 21:19 │Comments(0)

この記事へのトラックバック

牛ミンチ偽装したミートホープの田中社長がついに指示を認めた。牛ミンチ偽装したミートホープの田中社長の長男である取締役に「本当のことを話してくれ」と詰め寄られ、牛ミンチ偽...
牛ミンチ偽装 ミートホープ 田中社長 「雲の上の人」と工場長【転職したくない窓際中年のリストラ対策】at 2007年06月22日 08:15

<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。